まず、英語の120の接尾辞について昨年度から行っている、拘束語根に付加される割合、および語基の強勢を保持している割合に関する包括的な記述調査を完了させた。それぞれの接尾辞について得られた各割合のパーセンテージから、各接尾辞を英語に観察される四つのクラスに分類することができた(それぞれが高い/低いの組み合わせで4通り)。その上で、各クラスに属している接尾辞の数の統計調査を行い、各クラスが英語全体に占める割合のパーセンテージを得ることができた。このような調査は過去に行われたことがなく、英語の語形成に関する包括的調査として非常に重要である。さらにアルバイトを雇い、この調査の結果をデータベース化する作業を行った。 次に、本研究で仮定する英語の語形成と強勢付与に関する種々の制約に基づき、それぞれのクラスを生み出すと予測されるランキングの割合が、上記調査で得られた実際の割合とどれぐらい一致するかの比較を行い、理論の強度を検討した。昨年の研究で明らかになった部分配列から、各クラスには異なる数の制約のランキングが得られるのである。その結果、概ね理論の予測通りの分布をしていることがわかった。この結果は本研究の理論化の適切さを示すもので、大きな意味がある。これらの結果は2011年2月開催の第6回音韻論フォーラムで口頭発表された。 同様に、クラスごとに予測される強勢のパターンを生み出すランキングの数が異なることも予測される。この点についての理論的な解釈について、部分配列理論の提唱者であるArto Anttilaと意見交換を行った。
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