研究課題
最終年度は,研究調査の結果から得られた知見を考察し,日本の大学が国際教育連携を遠隔的手法で組織的に取り組む際の環境整備要件をまとめ,報告した。併せて研究を通して運用したオンライン日本語学習支援交流環境の維持・管理のため,関連する3つの層(教育層,情報通信交流技術層,教育経営層)の整備,機能の高度化も実施した。まず,同期型のウェブカンファレンスシステムでの遠隔学習支援について,交流場面の談話分析から抽出した海外日本語学習者に特有して見られた特性や学習支援の際の配慮についてまとめ,報告した。同期型での学習支援の場合,主に教育層での配慮が必要で,学習環境や学習者の特性を解明したことが支援の改善に大きく貢献したと考えられた。また,交流で見られた談話の適切性について談話内容をカテゴリー化してそのパターンを解明し,学習支援で活用可能なプロダクションルールについて提案した。他方,非同期型のeラーニングシステムを活用した学習支援は,同期型に比べて学習者個々のニーズや要望に対応していた。交流記録は自動集計され,注目すべき活動も多々観察されたが,そこから2つの考慮すべき結果が得られた。1つは学習者のオンラインでの活動が提供したeラーニングサイトを超えて広がった。支援による学習者へのオンライン資料やサイトの紹介がこれを助長した。結果として,支援者,学習者双方に必要となる新たな情報リテラシーの提案を行った。2つ目は,学習環境の拡大に伴い,教育層,情報通信技術層,教育経営層の全てで初期に予定していた調査対象の範囲を見直す必要に気付いたことがある。ソーシャルネットワークなどに分散する未整理な情報を,学習支援に活用するためには,組織に保有する情報の提供に限らずにコモディティ化しているサービスと関連させたり,支援者・学習者のニッチ能力の発揮や手作業による分析・発信力も育成する必要があることを解明した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Paper Presented at International e-Learning Conference 2012 (IEC2012), Thailand Cyber University, Ministry of Education, Thailand
巻: Proceedings ページ: 32-37