本研究は、言語少数派生徒と日本人生徒が在籍する教室において、学習場面における両者の対話に注目し、日本語力の差、背景知識の違い、ものの見方や考え方の違いを活かした学び合いの可能性を探ることを目的とする。 初年度である21年度は、対話活動に関する文献資料の収集とともに、横浜市の公立中学校をフィールドとして国際教室と在籍級の授業場面における談話データを収集した。 後者に関しては、横浜市鶴見中学校の国際教室において、平成21年7月から翌年3月にかけて3名の生徒(中国出身1名、フィリピン出身2名)を対象に、週1回、母語を活用した国語学習支援を教科課程の枠組みの中でで行った。申請者は参与観察を毎週行うとともに、学校(管理職・担当教員)、母語支援者、生徒の了解のもと、参与観察や録音データを収集した。また、対象生徒の在籍級の授業についても入り込み指導を行い(計5時間)、参与観察及び録音によるデータ収集を実施した。 さらに、学習支援開始時(20年7月)と支援終了後(21年3月)には、授業に関わった国際教室担当教員(2名)と在籍級担当教員(1名)に対して、母語活用に対する意識変容を探るインタビュー調査も併せて実施した。 22年度は、同校での学習支援を継続するとともに(*管理職及び担当教員から了承済み)、在籍級の入り込み指導や対話活動の充実を図ることをめざした授業作りを担当教員とともに進めている。
|