門倉の、世界日本語教育研究大会での研究発表では、教科書のイラストの含意を読み解くというビューイング要素の一端を論じることによって、ビューイング要素への着目を促した。韓国で行われた語学教員研修大会においては、絵本という視覚表現と文字テキストが複合した素材が「読む・書く」練習を促進する素材として適していることを実践的に示した。 岡本は、日本語教育学会春季大会で4コママンガが、留学生と日本人学生が協働する日本語クラスの教材として有効であることを論じた。また、岡本・奥泉は、英国で行われたVisual Litarecies研究大会で日本語表現のmultimodal communication要素を提示して、高評価を得た。 これらの研究発表によって、言語教育関係者に対して、言語教育におけるビューイング教育の重要性をアピールすることができた。また、英国での国際大会で英語教育研究者と意見交換する中で、2009年のオーストラリアでのInternational Pragmatics Conferenceでの研究発表後、ブリズベンでの英語教育を調査した際と同様に、英語教育との連携の必要性を実感した。 日本国内における日本語教育、国語教育、英語教育が連携することによって、それぞれの言語教育の特徴を生かした、より深い「ことばの教育」が可能になると思われるが、その際、ビューイング領域は格好の連携の場となり得るだろう。
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