ヨーロッパ言語共通参照枠組み(CEFR)や全米外国語教育協会OPI基準を参照し、レベル0から6までの7段階の行動記述文によるレベル表示を作成した。この基準に基づき「読み書き能力判定テストVer.1」を開発した。このテストの特徴は、(1)日本語が読めなければ受けることができなかった従来の試験の欠点を克服するために、多言語対応にし、受験者が母語で問題の指示等を受けられるようにした。(2)試験に含まれる問題内容は、受験者が生活の中で実際に求められる行動を調査し、現実性のあるものとした。(3)実施・採点に当たっては、就労外国人と接触する一般の人々が使用可能なように、ガイドラインを作り、実施マニュアルを作成した。 「読み書き能力判定テストVer.1」を215名の外国人対象者に実施し、その結果からテストの妥当性、信頼性、および各項目の識別度を算出した。これに基づき、改善を行い、「読み書き能力判定テストVer.2」を作成した。現在までにこのテストを445名の対象者に実施した。この実施結果を分析し、さらに精度の高い測定具に改善し、またより上位のレベルまで測定できるよう「読み書き能力判定テストVer.3」の開発を行っている。行動記述文によるレベル表示は、受験者自身および企業や就職支援にかかわる人々など多くの人にとってわかりやすいものにし、日本語学習コースのプレイスメントや学習成果の確認に役立てている。外国人就労者の日本語学習を継続していく目標の設定や学習の動機づけとなっていくことを目指して、現在さらに多くの学習者に実施している。
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