研究課題/領域番号 |
21520537
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鹿島 央 名古屋大学, 留学生センター, 教授 (60204377)
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研究分担者 |
橋本 慎吾 岐阜大学, 留学生センター, 准教授 (20293582)
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キーワード | リズム現象 / リズムユニット / 生理的な要因 / 呼気圧 / 呼気流量 / 日本語学習者 / 中国語北方方言話者 / 南米スペイン語話者 |
研究概要 |
本研究は、日本語のリズム現象をリズムユニットの配置特徴として規定し、さまざまな言語を母語とする日本語学習者の特徴的なリズム現象を解明するために、呼気圧、呼気流量という生理的な側面に焦点をあてて分析を行うものである。学習者では、例えば、「たたんたん」や「たーたったん」などの語が、それぞれ「たーたんたん」や「たたったん」のように語頭が長くあるいは短く発音される傾向が観察されるが、どのような環境で、なぜ伸長あるいは短縮してしまうのか原因はわかっていない。このような語音の伸長、あるいは短縮現象は意味の伝達や日本語としての不自然さに影響を与えるため、大きな問題を含む現象となっている。前年度までは、韓国語、中国語を母語とする学習者のリズム生成の生理的特徴を分析し、呼気圧・呼気流量の違いを、日本語母語話者と比較することで明らかにしてきた。21年度は、さらにスペイン語話者を加えて分析を行った。資料語は、リズム型122型の語「たたんたん、たたーたん、たたったん」およびリズム型212型「たんたたん、たーたたん、たったたん」である。収録にあたってはまず、学習者に自由に発話してもらい、特徴的なリズムとして実現しているものを日本語母語話者が判定した。その後、特徴的なリズムの語が正しく実現されるように発音練習を行い、再度収録した。その結果、正しくリズムが実現された語とそうでない語があったが、正しく実現された語について、持続時間と呼気圧・呼気流量の変化を分析した。以上の分析から、スペイン語話者については、正しく実現された語では、日本語話者と同様の呼気圧・呼気流量となっていたが、中国語話者では、リズムが正しくなっていた語でも、各ユニットの呼気圧・呼気流量は日本語話者と異なっていた。このことから、呼気のコントロールの仕方が、中国語話者では特徴的であることが明らかとなった。
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