平成21年に録画した米国ミドルベリー大学下記日本語集中講座の授業のビデオのうち初級の授業を元に、授業構成、学習者の発話と教員の発話、そしてフィードバックの効果について分析し、結果を世界日本語教育学会で、二つの論文として発表した。更に、中、上級のデータについて、授業構成、学生の発話と教員の発話の分析をまとめ、平成23年4月2日のAssociation for Teachers of Japanese Annual Conferenceのパネルセッションで発表することになっている。また、ここでは、初級、中級、上級の授業内でのペア、グループワークの発話を分析し、教師主導の授業とグループワークでは、学習者の発話の長さ、複雑さ、正確さに違いがあるかどうかを検証し、発表することになっている。そして、初級、中級、上級の比較結果を、同学会の雑誌に投稿し、現在査読中である。 更に、文法練習に焦点があたりがちな授業中のペアワークと、近年有効性が主張されている学習者の注意を意味に向ける会話タスクとの有効性を比較するために、平成22年6月から8月に米国ミドルベリー大学の初級と中級の日本語学習者を対象に、会話タスクの構成要因によって学習者の発話内容と記憶にどのような影響を与えるかの実験を行った。多数中の発話データを収録し、書き起こすとともに、学習者の注意がどの程度意味や形式に向いているか、またタスク遂行中の発話がその後の発話修正に影響するかどうかを分析中である。この結果の一部はすでに上記のアメリカの学会で発表することになっているが、その他に、授業中のペアワークの発話と比較をし、タスクタイプと発話との関係を調査している。平成23年度にはこれらの結果をまとめ日本語教育学会で発表するとともに報告書にまとめる予定である。
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