平成21~22年に収集した米国ミドルベリー大学の日本語集中講座の初級、中級、上級の授業データについて、授業構成、学習者の発話と教員の発話について分析し、結果を米国のATJ/AAS Conferenceと世界日本語教育学会、および日本語教育学会で発表した。ここでは、初級、中級、上級の授業内でのペア、グループワークの発話を分析し、教師主導の授業とグループワークでは、学習者の発話の長さ、複雑さ、正確さに違いがあるかどうかを検証した。また、授業活動をタスクの特徴(使用する言語形式が限定されているタスクと限定されていないタスク)によって分類し、タスクの違いによって、学習者の発話の正確さや流暢さ、複雑さ、言語形式に注目する頻度が異なるか否か比較し、論文にまとめた。さらに、学習者の言語形式の間違いの自己修正率がタスクと言語能力によって異なるか分析し、現在論文にまとめているところである。また、教師のフィードバックの方略と成功率を分析し、世界日本語教育学会に投稿中である。 更に、平成22年6月から8月にミドルベリー大学の初級と中級の日本語学習者を対象に、文型練習を主としたペアワークと近年有効性が主張されている学習者の注意を意味と言語形式に向けるペアワークとの有効性を比較する実験を行った。この結果は米国のATJ/AAS Conferenceで発表した。また、平成23年8月から9月にかけてミドルベリー大学、アイオワ大学で、別の会話タスクを用い実験を行った。今回は日本語の習熟度によって学習者の談話構造と発話に変化がみられるかを分析した。この結果は、カナダのAATJ Conferenceで発表し、Japanese Language and Literature投稿中である。また、一連の研究について、4月に台湾心理大学、5月にプリンストン大学、8月にカナダ日本語教育学会で招待講演をする予定である。
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