研究課題/領域番号 |
21520544
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
DANIEL Long 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (00247884)
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研究分担者 |
中井 精一 富山大学, 人文学部, 准教授 (90303198)
西郡 仁朗 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (04686632)
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キーワード | 言語習得 / 言語接触 / 日本語教育 / 文化受容 / 移民研究 / 自然習得 / 外国人と地域社会 / コードスイッチング |
研究概要 |
日本の複数の多言語コミュニティにおける言語習得状況を比較し、日本語の学びやすい要素と学びにくい要素、あるいは変化しやすい要素と変化に耐える要素を見つけ出そうとしている。今年度は小笠原欧米系島民およか大洗町インドネシア入住民の調査を行なった。さらに、沖縄や奄美の若年層が話す地域共通語である「ウチナーヤマトゥグチ」や「トン普通語」を、標準語教育ではなく、第2言語として日本語習得の視点から捉え直した。研究論文や図書、研究発表や招待講演などを通じてその研究成果を公表し、フィードバックを求めた。 「言語接触から見たウチナーヤマトゥグチの分類」という論文で、この言語変種の正体を検証し、ピジン、クレオール、コイネ、ネオ方言、混合言語、中間言語などさまざまな言語接触現象のいずれとも相違点を持っていることを明らかにした結果、クレオロイド(しかもこれまでに報告されてこなかった類のクレオロイド)であるという結論に至る。 また、大学院生とまとめた「石垣島の台湾系島民の日本語-1話者のケース・スタディー-」の中で、台湾語を母語とする人が長年石垣島で暮らし、日本語を自然習得した結果形成された中間言語の具体的な言語形式をいくつか分析した。それは、呼称(自称や親族呼称など)、単語忘却の際のアレ、新情報認知要求のデショ、フィラー(間投詞)としてのモウ、非順接的用法の~テカラ、文末詞サーの用法、非・理由用法のワケなどであった。 日本国内にあるこれらの多言語コミュニティにおける日本語習得の実態を研究することによって、近い将来に増えてくるであろう、こうした「外国系日本住民」に対する日本語教育を、より効率の良いものにすることができると確認している。
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