日本の複数の多言語コミュニティにおける言語習得状況を比較することが本研究の目的である。日本国内にある多言語コミュニティの日本語習得を研究することによって、近い将来に増えてくるであろう、こうした「外国系日本住民」に対する日本語教育を、より効率の良いものにすることができると確認している。 平成22年度は小笠原欧米系島民および石垣の調査を行なった。さらに、沖縄や奄美の若年層が話す地域共通語である「ウチナーヤマトゥグチ」や「トン普通語」を、標準語教育ではなく、第2言語として日本語習得の視点から捉え直した。研究論文や図書、研究発表や招待講演などを通じてその研究成果を公表し、関連分野の研究者の反応を求めている。 22年度に小笠原諸島の欧米系島民の言語習得と言語接触に関するドキュメンタリー映画を製作し始めた。2010年11月20~21日、横浜の山手234番館にて第2小笠原研究者円卓会議を開催した。私の2件の発表を含む7件の研究発表があった。そのほかにこの映画の途中経過の試写会を行なった。また2011年2月19日に東京秋葉原の首都大学東京サテライトキャンパスで行われた国際会議The interdisciplinary workshop on sustainable symbiosis of human and nature from the view point of" Island study"でも試写会が行われた。こうしたドキュメンタリーを通じて、日本国内における多言語コミュニティやその中で起きている言語接触と言語習得現象がより広く知られることになると思われる。
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