平成21年度は、本研究の初年度にあたり、研究全体の基盤となる調査を中心に行った。具体的な内容は、以下のとおりである。 1. 介護現場、異文化コミュニケーションに関する先行研究の調査 日本語学および社会福祉学関係の文献を中心に、介護現場におけるコミュニケーションに関する先行研究の調査を行った。今年度以降は、これらを体系的に整理し、介護現場で必要とされる異文化コミュニケーションスキルについて具体的に考察を行っていく。 2. 介護・看護分野への外国人労働者受け入れに関する実態把握-フィリピン・インドネシアの事例を中心に- EPA(経済連携協定)により受け入れが開始された外国人介護福祉士、看護師候補者の受け入れの実態を、資格要件、研修、労働現場での実情、さらに資格取得に向けての方策など多面的に調査した。今年度は、これをもとに、浮かびあがってきた問題点やそれに対する方策などを考察する。 3. 予備調査に基づく介護現場におけるコミュニケーションの特徴の整理 2008年度に行ったパイロット調査をもとに、介護現場に特化して観察されたコミュニケーションの特性を整理した。この調査結果に基づき、仮説を立て、今年度収集したデータにおいて詳細な分析を進めていく。 4. 介護場面におけるコミュニケーション活動のデータ収集 高齢者介護施設における介護者と利用者とのコミュニケーションの様子について、参与観察の形をとり、ビデオカメラとICレコーダを用いて、データ収集をした(収集場所は富山県の特別養護老人ホームである)。データ収集にたっては、あらかじめ、施設に対して、研究の目的やプライバシーの保護等について十分説明し、了解を得た上で行った。今年度以降は、収集したデータに関して確認・検証を行った上で、DVD化し、分析効率の高いExcelファイルにデータベース化を行う。これを利用して、さらに具体的な分析を進めていきたい。
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