平成22年度は、本研究の2年目として、EPA受け入れによる外国人介護福祉士候補者の就労及び日本語学習の実態、また収集したデータの確認と検証、およびそのデータ化を行った。 1. EPA受け入れによる外国人介護福祉士候補者の実態調査 6か月の一斉研修を経て介護現場での就労を開始した外国人介護福祉士候補者の勤務の実態、また日本語学習の実態を調査した。さらに国際社会において外国人介護労働者がどのような形で就労しているかも調査した。 特に今回のEPAにおける日本語学習では、就労後は候補者各人の自学によるところが大きいことが明らかとなり、その上で実際的な学習に最も即していると考えられる教科書教材に加え、E-Learning開発の実際とその教材としての特性についてまとめた。 2. 介護現場における異文化コミュニケーションに関する聞き取り調査 実際に外国人介護福祉士受け入れの実績のある介護施設に協力をいただき、受け入れに伴う問題点や利点について、対面の形でヒアリングを行った。特に、日本語運用について現場で発生した具体的な事例を、ディスコース、テクストのそれぞれの側面からあげていただき、今後の外国人介護福祉士候補者に対する専門日本語教育に向けての現場からの要望を整理した。 3. 介護現場のコミュニケーション活動のデータ化と分析の開始 収集したデータの文字化を行い、それをデータ化した。文字化にあたって、必要とする情報について検討し、また音声の聞き取りが難しい部分などについては、映像やフォローアップインタビューなどをもとに再現を行った。またその一部を用いて、談話の分析を開始した。 研究最終年度となる来年度は、このデータをもとに、介護現場特有の談話技術の洗い出し、その日本語教育への応用について具体的に研究を進めたい。
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