平成21年度に実施した研究の概要は、以下の通りである(3か年計画の初年度)。 1、国内外のライティングセンターについての概要調査。 (1)【教育史の概観】 米国においてライティングセンターが設立された70年代後半以降の文献資料等を収集し、ライティングセンターに関してどのような議論がなされてきたのか、どのような成果が得られ、どのような問題点が浮上したのか等について、概観した。また、国内における既存のラインティングセンターに関しても、文献資料等により、その設立の経緯を概観した。 (2)【ライティングセンターの視察調査】 大阪女学院大学、スタンフォード大学等、国内外9大学のライティングセンターを実際に視察し、どのような形態で組織運営がなされているかを多面的に調査した。具体的には、運営上の問題点(スペースの確保など物理的な側面、予算や教員の確保、他学科や学部との連携といった課題)、指導上の問題点(指導法、指導成果)などである。 2、ライティング指導に関するニーズ調査の実施。 (1)【留学生を対象としたアンケート調査】 静岡産業大学情報学部に在籍する留学生、約100名を対象に、ライティングに関するアンケート調査を実施した。「書く」という作業を行う上で、留学生がどのような問題に直面し、どのような指導を必要としているか、ライティングセンターの設立を想定した場合、どのような役割を期待するか、といった事項を質問紙によって調査し、その統計的分析を行った。 (2)【教員を対象としたアンケート調査及び聞き取り調査】 日本の大学・大学院において、留学生の指導に関わる教員に対し、アカデミック・ライティングの指導の必要性についてのアンケート調査、及び聞き取り調査を行う予定であったが、これについては十分に行うことができなかったので、継続して実施する予定である。
|