研究課題/領域番号 |
21520557
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
宮岸 哲也 安田女子大学, 文学部, 准教授 (30289269)
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研究分担者 |
加納 満 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (80251859)
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キーワード | シンハラ語 / 日本語 / 授受表現 / 対照研究 / 習得研究 / 日本語教育文法 / 対訳コーパス / シンハラ語KWIC |
研究概要 |
1.今年度の研究で分かったこと ・シンハラ語のdenawa(ヤル)補助動詞文は具体的な事物の授与を前提とし、恩恵のみの授与は表せない。 ・シンハラ語では不規則動詞が授受補助動詞文にはならないというPriyadarshani(2008)「JFL日本語学習者の授受表現の習得-シンハラ語を母語とするスリランカ人学習者を対象として-」(広島大学大学院修士論文)に対する反例が見つかり、形態論的要因だけではなく意味論的要因によっても、授受補助動詞文が作れるかどうかが決まる。 ・シンハラ語授受表現は、話者ではなく動作主に視点を置いている。 ・シンハラ語授受表現の受益者・与益者の格標示について、前項動詞の意味により制限がある。 ・シンハラ語授受表現は文脈により、恩恵のほか皮肉や強糊を表す場合がある。 ・シンハラ人日本語学習者にとって、「~テモラウ」よりも「~テアゲル」「~テクレル」の習得が困難である。 ・シンハラ人日本語学習者は依頼場面で授受表現を使っても、感謝場面では授受表現の使用しない傾向がある。 2.これからの課題 ・上記のシンハラ語授受表現の諸特徴について詳細に記述し、日本語との対照研究を行う。 ・インタビューの予備調査では、教師相手の会話をさせ、被験者を緊張させてしまったので、本調査では学習者同士の会話を加える。 ・データ分析のツールとして試作したシンハラ語KWICを、日本語対訳の表示機能を備えたものに改良する。 ・対訳データベース用のデータ入力を済ませ、シンハラ語KWICで分析できるようにする。 3.意義・重要性 ・以上の研究を深化・統合させることで、シンハラ人向け日本語教育文法としての授受表現の指導法を提案できる。 ・氾言語的な授受表現の研究に対し、新たなデータを提供できる。
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