本研究の目的は、第一に日本語教育用文法用語の出自から今日の日本語教育・国語科教育の現場における文法用語の使用実態にいたるまでを明らかにすることである。第二には文法教育のあり方の側面から日本語教育と国語科教育との連携強化のための方策を提言することである。初年度の21年度は、基礎的研究として、主に史料・文献収集とそれに基づく調査研究を行った。具体的には、次のとおりである。1.日本語教育用文法用語および国語科教育文法用語の出自に関する先行研究を再整理し、本研究で扱う文法用語の項目をほぼ確定した。確定したのは、動詞の活用形の名称(10)、活用のしかたにより分類された動詞グループの名称、形容詞の分類とその名称、文体名である。2.歴史的日本語教科書ならびに海外で出版された日本語教科書を国内とタイで収集し、文法用語の分析とそのデータベースを一部作成した。3.1985-2008年に刊行された日本語教科書を収集し、文法用語の調査分析とそのデータベース化を一部開始した。4.文法研究関係史料を収集し文法用語の出自調査をした。当初計画では日本語教育文法用語の暫定的な系譜図を作成する予定であったが、1.2.3.5.の作業に予想外に時間を費やしたため、22年度に作成することにした。5.国語教科書文法用語の調査分析をした。なお、予算の関係上、児童生徒用日本語教科書の文法用語調査は22年度に行うことにした。6.文法用語の教育現場における使用実態調査のためのパイロット調査として、群馬県太田市で日本語教育に携わるボランティアに聞き取り調査とアンケート調査を行った。7.研究方法の再確認、調査項目検討、研究進捗状況確認等のために、4回の会議をもった。
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