研究課題
平成22年度は、実際の現場での会話の録音という形で、介護現場で使用される地域語の採集を行った。日本人の介護士3名と、外国人介護士1名に依頼して24時間のICレコーダーによる録音を行い、現在、文字起こしを行っている。また、昨年度に行った介護スタッフが使用する介護日本語についてのアンケートデータを分析している。現段階では、大まかな特徴として、敬語表現が少ないと言われる山形地域語だが、介護スタッフは地域語を使用しながら、利用者に対する敬意や配慮を表現していることが上げられる。その方法については、個人差も大きいが、それぞれが工夫して表現していることがわかった。工夫の中には、純粋な方言形とは言えない、むしろ「おかしな方言」と言えるような形が見られたが、年齢の低い介護スタッフが、年齢の高い利用者への敬意や配慮を親しみを込めながら表現するという特徴が見られ、介護現場の地域語使用実態の一端が明らかになったと考える。接触場面における双方の異文化感に関しては、EPAで来日しているインドネシア人研修生と担当スタッフへのインタビューと、実際に現場で働いている韓国人スタッフと同僚のスタッフへのインタビューで調査を行った。EPAの研修生は、施設に導入されている機械の操作、説明の日本語、加えて利用者が話す方言の難しさなどに困っており、時間意識の違いを異文化と感じていた。日本人スタッフの側からは、日本語力の問題からどのくらい理解しているかが不明、不理解も曖昧にしてしまうなどの傾向が指摘された。韓国人介護士については、敬意を表すべきところで強い命令形を使用したり、大きい声を出したりすることへの違和感、申し送りノートの不備、専門用語の不理解なども問題としてあげられた。留学生別科の学生が行うプロジェクトワークでは、地域語話者との接触場面などを利用し、地域語への気づきを促すための指導など介護日本語教材のための試行的活動も行った。
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日本語プロフィシェンシー研究会国際シンポジウム「生活日本語とプロフィッシェンシー」
ページ: 125-127