英語教員を目指す大学生(2年生)を対象に、プロジェクトを実施した。地域の外国語指導助手(ALT)およびオーストラリアの交換留学生との対話交流プロジェクトを実施した。参加学生は、自分の選択したテーマについてコースの最終授業においてプレゼンテーションを行うことを最終目的として、対話を通して情報を集め考察を深めていった。毎回の交流後には、「言語学習」と「コミュニケーション」という視点からの内省を記録しポートフォリオの一部とした。さらに、グループごとに教員とのDebriefingを行い次回の交流への課題を明らかにした。英語運用能力への影響については、TOEFL ITPの5月および3月の実施とISLPR(SpeakingとListening)の2月の実施によって観察した。英語教育観については、毎回の記録をもとにその推移を観察した。 また、社会文化理論にもとづく外国語教育の実証的研究について文献から理解を深めた。タスクを中心とする言語学習のデザインは、これからの外国語教育をよりよい方向に変化させる鍵を握ることがより明らかになった。日本の外国語教育への具体的応用が可能であることは、今年度の研究からほぼ間違いないと見てよい。ただ、英語教員養成プログラムにどう作るかという点については、検討が始まったばかりである。今後は英語教員志盟者が、自分自身が経験した言語学習や授業についてどう捉え、プロジェクト経験によってどのような変容を見せるか、また、その変容は実際に教育実習等の実践の場においてどのように表れてくるのか探っていく必要がある。 今年度の研究の意義は、プロジェクトの一連の実施から学生が辿る言語教育観の変容のプロトタイプを見出すことができた点にある。また、書語能力についても、プロジェクトの関わり方が影響因子であろうと推測するに難くないことがわかった点にある。
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