研究課題/領域番号 |
21520562
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐々木 雅子 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (00292392)
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キーワード | タスク / 言語学習観 / 言語教育観 / 教育実習 / 社会文化理論 / 英語教員養成 / プログラム評価 |
研究概要 |
今年度(平成23年度)は、タスクの基本的考え方を中心にデザインした対話交流プロジェクトに参加した学生が、使いながら言語能力を高めていくということを学習者として実感し肯定的に捉える事ができたとしても、教育実習などの授業で教える立場になった時に、どのようにタスクやコミュニカティブ・ランゲージ・ティーチングのアプローチを授業で具現化させていくことができるかという点について注目して研究を進めた。 8月末から9月中旬にかけての3週間の教育実習での実践に、対話交流プロジェクトがどのような影響意を与えるかという研究課題を前年度までの研究課題に加える形で研究を進めた。研究対象学生8名は、対話交流プロジェクトをコースの中心に据えた「応用言語学I」と並行して、「英語科教育学概論II」という模擬授業の実施を含む教育実習へ向けた実践的コースと、「教育実習事前事後指導」という教育実習に直接的にかかわる指導を行うコースを履修した後で教育実習に臨んだ。 言語学習観についての変容観察用データとしては、対話交流プロジェクトの参加学生に言語運用および異文化理解についての省察記録を用いた。また、言語教育観の変容については、アンケート調査による測定を用いた。結果として、言語学習観も言語教育観もタスクやコミュニカティブ・アプローチを肯定する傾向に変容を見せたものの、教育実習での授業実践になると、変容後の言語学習観と言語教育観に即した授業実践を行うというふうには単純にはならないという様子であった。その要因としては、教壇に立つのが初めての経験であるため授業方法だけに集中できるほどの余裕がもちにくいこと、授業方法以前に生徒との信頼関係の構築や生徒指導の面への留意が要求されるということ、生徒の普段の授業方法がコミュニカティブ・アプローチではない場合には思い描く授業が成立しにくいことなどが挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対話交流プロジェクトの実施及び教育実習での授業実践観察はほぼ計画通りに進めることができたものの、データの分析および結果のまとめが思うように進んでいないのが現状である。また、ニュージーランドで開催された国際学会で得た知識や実践情報を十分に生かしていない点も、評価理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今後研究を進めるにあたって不足している点は、理論との整合性についての考察が進んでいない点である。社会文化理論に基づいた英語教員養成はどのようなものなのか、何をどのように実施することで、どのような効果が期待され得るのかという点について、得られたデータを整理し論理的に結果を提示する必要がある。その対応策として、積極的に学会での発表と論文発表を行い研究結果をまとめていく。
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