研究課題/領域番号 |
21520563
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
佐久間 康之 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (90282293)
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キーワード | 音声処理速度 / 記憶 / 文字言語 / 音声言語 |
研究概要 |
本研究の目的は、認知心理学における記憶モデル(ワーキングメモリ)の理論的研究に基づき、文字及び音声言語の処理速度と理解の関係について、外国語として英語を学習している日本人学習者を対象に横断的かつ縦断的に研究を行い、(可能であれば)英語の母語話者との比較を通して、その要因の解明を目指すものである。平成23年度は日本語圏及び英語圏の主に大学生を対象に日本語版及び英語版のストループ課題と逆ストループ課題を調査した。対象言語はそれぞれの対象者にとって母国語及び外国語である。主な結果として、母語の優位性の特徴に関しては以下の通りである。 Within 日本人 : 言語に関する注意力及び選択的注意力 英語母語話者 : 色に関する注意力及び選択的注意力 Between〈注意力〉日本語版 : ほぼ(4つのTASKうちの1つのTASKを除き)母語の優位性有 英語版 : 母語の優位性無 〈干渉〉母語の優位性無 この結果において認知的処理の相違なのか、または偶発的個人能力の相違なのかは今後の課題である。また、今回の調査により教育的示唆として以下の二点が考察される。 1. 言語認識の重要性:「色」よりも「言語」認識の重要性と頑健性が見られたことから、色への抑制よりも言語への抑制の難しさを示しているものと思われる。 2. 基本的かつ頻度数の高い語の自動化 : 母国語も外国語も干渉率は一貫して正の干渉率で安定した傾向にある。Sakuma(2011)では外国語は学年により正:負が散見されたことと比較すると、大人の認知発達段階における証拠であると同時に語彙指導において意識的・無意識的に日常的に繰り返し学習することの重要性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
安定した条件(大規模な人数、多様な調査項目かつ長期的に協力要請)での対象者の選出にあたり、東日本大震災の影響により教育現場への協力を円滑に行いにくい側面が大きな要因である。
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今後の研究の推進方策 |
継続的試みとしては、安定した条件(大規模、多様な調査項目かつ長期的に協力要請)での対象者の選出の交渉に努めるとともに、少なくとも限定した対象者を長期的に一定の調査項目かつ頻度でデータ収集を行い、変容調査を行っていく必要性がある。
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