小学校における日本語教育と外国語教育との架橋となり得る言語意識・多言語活動を提案するため、その教材、カリキュラムの開発及び職員研修プログラムの構築が本研究の目的である。本年度はその最終年度にあたり、(1)昨年度奈良県内で実施した実践研究を始めとするこれまでの取り組みの成果を発表し,(2)現職教員及び教員志望大学院生を対象に多言語活動実践のためのワークショップを開催した。以下それぞれの成果について簡単に述べる。 (1)前年度に奈良県内小学校1校においては大学院生,中学校1校においては研究代表者と研究協力者とでチームを組み多言語活動のデモ授業を行った。教材は基本的にスイスの多言語教材(EOLE )を参考に作成し,小中学生の言語意識の向上を目標とするとともに参観する教員への研修も意図した。それぞれの成果は,4th International Conference EDiLiC(2012年7月16-18日,ポルトガルアベイロ)にて発表し,国内外の研究者や実践者からの評価を受けると共に、お互いの取り組みに関する情報を交換した。また,慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2012(11月23日,東京ミッドタウン)のセッションにおいて,これまでの多言語活動の取り組みを広く紹介した。 (2)最終的な仕上げとして,他の科研費プロジェクト(23330245)との共同でフランスアルザスIUFMからアンドレア・ヤングを招き,教員志望の大学院生及び現職小学校教員を対象に多言語活動のためのワークショップを3日間(2013年2月18-19日)に亘って開催した。受講者がワークショップによりどのような意識の変化が見られたかを中心に調査を行い,その成果は次年度の第9回 CitiZED[シティズンシップ教育]国際会議(2013年7月13-15日,東京)で発表予定である。
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