研究概要 |
本科研課題の本年度の目標はLMSを連合させて協働学習活動につなげるための基盤,主にハードウェアのインフラ作りをすることであった.まず予算から2台の実験用サーバ,無停電装置を購入し,愛知県の日本福祉大学と東京都の東京電機大学構内に設置した.それぞれのサーバにOS,データベース,Webサーバなどの基盤になるソフトウェアを導入し,その上にオープンゾースのLMSであるMoodleをインストールした.このMoodleにはMoodle NetworkというLMS同士を連結する機能が組み込まれているが,設定や管理の難しさもあって,世界でもあまり利用されていない.このMoodle Networkを佐藤が設定,調整し,遠隔地にある二つのLMSサーバ間でユーザがログインし直すこと無しに,互いに行き来し,それぞれの場所にあるリソースを利用したり,異なるLMSユーザ同士が交流をする仕組みを実現することができた.その実現プロセスやセキュリティー上の配慮,活動の実演などはMoodle Moot Hakodate 2010で発表した. 次に,各大学やそこでの学習者が持つブログを各校に設置されたMoodleで共有するための環境も構築した.これは複数のプログを集約した上で時系列に並べ,Moodleの画面上の一つのブロックに表示させるという仕組みである.これにより,各校における学生の学習状況や,それに関連した情報の共有が即時にできるようになった. 神田はさらに独自のMoodleサーバを立て,そのチャットモジュールを使って海外とのクラス間交流を行い,リアルタイム会話を通じて同モジュールの巧拙を検証した。また同じ交流の中でフォーラムによるtandem learningも試行した。それらの成果とこれまでのMoodleを使った授業運用について,宮添とともにフォーラム活動を中心に学会において実践報告を行なった。
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