研究概要 |
本研究の2年度は,文学的テクスト観察し,生徒の言語能力の醸成にどのように生産的に貢献しうるかを考察することで,英語教育における文学テクストの新しい位置づけを行った。主な関心は以下の3点である: 1. 英語教授法において文学テクストの使用を再評価するための論拠および資料を求める 2. アジア諸国における文学テクストの取り入れ方について,歴史的な視点から跡付ける 3. 教科書に用いられた文学テクストについて,ジェンダーやエスニシティの観点からさらに分析を加える。 上記の目的を達成するために,本年度は日本とヨーロッパ諸国における教科書の収集・調査に加えて,台湾,スペイン,およびドイツにおける研究協力者との協議を重ね,アジアにおける文学テクストの取り扱いの問題に関して,ことにシェークスピアの作品がどのように取り込まれたかについて,検討を重ねた。 さらに,文部科学省検定済教科書の記述のなかに,どのようなイデオロギーや世界観,そして偏見が知らず知らずのうちに織り込まれているのか,ジェンダーやエスニシティの観点から批判的な分析を行った。 また,教科書のテクストを教室現場で指導する際に,生徒の能動的な読みを引き起こすための副教材として,辞書の意味記述を分析し,これと読みとの関係についても考察を行った。 このような研究活動を通して,生徒の学習段階に見合ったふさわしい文学テクストを選択する基準が現段階で明らかになりつつある。
|