大学生の国際地域貢献が、異文化間コミュニケーション、異文化理解学習、外国語学習分野においてどのような有効性を持つかを探究するため、外国語としての日本語教育、及び日本文化教育プログラムを実践している長崎県佐世保市にあるアメリカン・スクールの異文化理解教育及び外国語としての日本語教育の現場を、1年間定期的に(週1~2回、計約50回)訪問した。平成21年度は、アメリカン・スクールにおいて、異文化(日本文化)理解教育の一環として行なわれている「そろばん」の課外授業に国際地域貢献活動として参加する本学の学生の英語運用能力と自文化発信力の変容について調査するための観察を行なった。英語力よりもそろばんに精通している学生を確保し、それらの学生が指導アシスタントとして機能できるようにした。本学学生がこの活動に参加することにより、授業が円滑に流れる手助けができたことや、日米の地域連携に貢献したことが認められ感謝状が与えられた。学生自身の英語運用能力については、客観的な評価は難しいがスピーキングとリスニングの力が、1年前と比較すると明らかに向上してきている。リスニングカにも自信がなく、スピーキングにも内気な態度であった参加学生たちが、1年後には人前で臆することなく英語でコミュニケーションをとる積極的な姿勢が身についてきている。また、活動に必要な語彙力も増加し、英語による説明力も向上してきている。また、英語学習に関する意識改革にも大きく役立ったことが、参加学生たちへのアンケート調査とインタビュー調査で確認できた。参加学生たちは、異文化間コミュニケーションの実践には不可欠な異文化理解や異文化容認、さらには異文化に対する先入観や偏見の軽減にも有益であったことを自由記述の中で述べている。アメリカの大学における地域貢献や異文化理解の要素を取り込んだ外国語教育の視察も今後の活動の大きな参考となった。
|