1.看護師国家試験問題の言語分析 日本の看護師国家試験問題の過去3年分について、語彙の出現頻度を分析。一般語(1級~4級)・専門語の割合を調べた。当初は研究1年目に日本と米国の国家試験問題の言語分析を計画していたが、試験の提示条件の影響を調べる実験を早く行って発表したほうが、外国人看護師にとっても日本の社会にとっても望ましいという意見のもとに、この言語分析は実験が終了後ということになった。 2.試験の提示条件の影響分析 外国人看護師が国家試験に合格できるように、日本語にルビをつけたり、試験時間を延長してはどうかという意見がメディアで取り上げられている。そこで、3つの提示条件((1)解答時間を1.5倍にする(2)漢字にルビをつける(3)母語)による実験を28名のインドネシア人看護師候補生、10名の日本人看護師を対象に行なった。問題の難しさが言語によるものか、看護知識の不足によるものか、日本社会の知識に不足によるものかを調べた。その結果、予測とは反対に、看護知識の不足の影響が大きく表れ、ルビも効果があることがわかった。 3.学習者の解答ストラテジーの調査 第二言語学習者の解答ストラテジーを調査する研究のパイロットスタディーとして、インドネシア人看護師候補生2名、アメリカの病院に勤める日本人看護師2名、アメリカ人の一般人2名に対してThink-aloudプロトコール、インタビューを実施。パイロット実験の結果、この看護の国家試験問題に関するproblem-solvingのタスクでthink-aloudを用いてのデータ収集は見直すこととなった。問題の解答がすぐ出る人は考えずに反射的に答え、わからない人は日本語の漢字がほとんど読めていない状態であったためである。 4.発表の申し込み 日本第二言語習得学会、世界日語教育大会、EUROSLA(the European Second Language Association)の学会発表申し込みを行い、また、日本語教育学会への原稿を投稿した。
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