研究課題/領域番号 |
21520596
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
小田 眞幸 玉川大学, 文学部, 教授 (60224242)
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キーワード | 言語政策 / 言説 / 世論 / マスメディア / 環境記号論 / マルチモダリティー / 外国語学習 / QDAソフトウエア |
研究概要 |
平成23年度は「パブリックディスコースの形成プロセス:日本特有の現象はあるのか」というテーマでそれまでに収集した、(1)大学生の外国語教育に関する意識調査、(2)新聞等の投稿欄(一般読者からのもの)そして、(3)一般市民が日常生活の中で接する視覚的刺激(広告など)から無意識に形成される価値観の重要性について言語景観(Linguistic Landscape : Backhaus 2007など)的観点からの研究をするために収集した画像(写真)のデータのうち、すでに整理が進んでいたものについて、中間報告の形でISLS国際大会(オランダ領アンティル諸島、6月、テーマ(3))、アジア英語教育学会国際大会(韓国、7月、(2))、国際応用言語学会AILA(中国、8月、(1))、大学英語教育学会50周年記念大会(福岡、9月、(1)(2))、日米教員養成協議会(JUSTEC)(米国、9月、(1))で計5回の研究発表(いずれも審査あり)を行った他、玉川大学(8月)、香港大学(10月)、龍谷大学(2月)の3か所で招待講演の形で成果の公表を行った。機材やソフトウエアの不具合や東日本大震災の影響により当初予定されていたインタビューの実施が不能になったことから、研究計画を一部変更し、まず部分ごとの成果の発表を行いながら、それぞれの発表の際に得たフィードバックをもとに、「日本特有の外国語教育に関するディスコース(言説)」は何か、そしてそれらはどのように形成されるのかという点について研究を進めて行った。その結果、(1)で扱った学習者の自らの外国語学習について、それぞれの考え方、信念がどのように形成されていくのかを通時的観点からさらに調べる必要があることが判明した。これは当初は想定していなかったことであるが、研究の完成年度、さらにその後の新たなプロジェクトに重要な示唆を与えるものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響などで、前年度より準備を行っていた学校等におけるインタビュー調査などが、新年度に入っても引き続き受け入れ先の要望で中止をせざるを得なかったため、インタビューデータが当初の予定通りにはそろっていなかったこと、また平成24年1月のQDAソフトウエアがNVivo9に発売されたため、早速アップグレードを試みたが、不具合が多く、平成23年度中終了時点では問題が解決していなかたため、結局は旧版のNVivo8を再度インストールしてデータの分析を再開したが、約2か月間全くデータの処理が出来ていなかったことが多少翌年の動き方にも影響している。但し、その間それまでの成果のま.とめと出来る部分からの公表をすすめたため、当初の計画以上に進んだ部分もあるため、結果的には大きな遅れはないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を整理し研究目的で述べた「パブリック・ディスコース」の形成過程とその影響力について、特に、言語政策の策定者と外国語教育従事者、外国語学習者、さらに経済界、マスコミ、一般大衆の間の利害関係について概念化をすることを目標とする。平成24年度は本研究の完成年度であるのでアカデミック・ディスコース、すなわち言語学者や教育学者などの外国語教育に関する言説の推移を通時的に概観する作業を完成させる以外には新規のデータ収集は行わず、各種のデータ間の関連性を整理した上で、何らかのモデルを示す作業を上半期(9月まで)に完了したい。分析にはQDA(質的データ分析)ソフトウエアを用いる予定であるが、過去2年間度々不具合に悩まされていることから、ソフトウエアを用いずにデータ分析が行えるような準備もしておく。下半期は研究プロジェクトのまとめの期間として、研究成果の公開の準備に専念する。
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