本研究の中心的目的は、米語口語表現における弱形の頻度を調査することであるが、研究結果の教育的示唆を視野に入れて作業を進めている。昨年度、教材から抽出したデータの整理を完成した後、その結果は教育現場に示唆を与え得るものであると考え、教材調査の主要結果を論文にまとめ、国内外の多くの語学教員が読む全国語学教育学会の学会誌The Language Teacherに投稿した。論文は昨年度受理され、今年度に出版される予定である。 弱形の頻度調査については、ほぼ昨年度の計画通り行った。まず、教材から抽出したデータをもとにMICASEコーパスのトランスクリプトにアノテーション(注釈)を付けた。当初20~30個の弱形を研究対象にする予定であったが、調査困難であるものもあると判断し、最終的に17個に絞った。なお、MICASEコーパスの中に様々なスピーチイベントが収録されているが、本研究で対象とするものを以下の3種類に絞った:1.Small lecture 2.Discussion section 3.Study group。対象にしたスピーチイベントはすべてアカデミックな環境で行ったものであるが、種類によって性質が異なるため、本調査には、その性質が弱形の出現率に影響しているかどうかを調べることができるという利点がある。具体的には、1から3のスピーチイベントは、それぞれフォーマル、比較的フォーマル、インフォーマルなものとなっており、弱形はインフォーマルな場面ほど多く出現すると言われているので、この研究でMICASEのスピーチイベントでそれが当てはまるかどうかを確認できる。 現在、トランスクリプトの分析がほぼ完成し、データの整理及び分析に取り掛かっている。分析の結果は研究発表及び論文で報告する予定である。
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