研究課題
本研究の目的は、日本人EFL(外国語としての英語)学習者を対象に、文の構成要素(単語、命題)からどのように文章全体の理解を反映する心的表象(mental representation)が構築されるかを明らかにすることである。本年度は、日本人EFL学習者の第2言語(L2)読解熟達度を要因として、文章読解における代表的な2種類の推論(i.e.,橋渡し推論、予期的推論)の心的表象への活性化と符号化プロセスを検証した。協力者である日本人EFL学習者(大学生)76名は、1-2文から成る短い英文を自分のペースで読み、読解後にオンラインタスクとして再認課題、オフラインタスクとしてリコール課題を行った。再認正答率、再認時間、推論活性化量、リコール産出量の4つを尺度とし、分析を行った結果、次の3点が明らかになった:(1)読み手は読解中に橋渡し推論を活性化し、生成された推論は読解後の読み手の心的表象に符号化されていること、(2)予期的推論のオンラインでの活性化の強い証拠は得られなかったが、読解後の心的表象には橋渡し推論と同程度に符号化されること、(3)テキストベースの理解が十分な場合には、L2読解熟達度は2種類の推論の活性化と符号化プロセスに影響を与えないことが示された。本研究からL2読解においても橋渡し推論と予期的推論の異なる活性化パターンが確認され、橋渡し推論は読解後500msのタイミングで活性化が確認され、予期的推論はそれよりもより遅いタイミングで活性化が起こる可能性、あるいは活性化のレベルが弱い可能性が示唆された。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)
ARELE (Annual Review of English Language Education in Japan)
巻: 22(印刷中)
JACET JOURNAL
巻: 51 ページ: 39-53