研究概要 |
本研究は,教育や学習の質的な研究の枠組み基づき,英語教師が綴った「ナラティブ」をデータとし,それを解釈する研究である。学校教育現場で教える英語教師に研究協力者として参加してもらい,電子ポートフォリオに,教育実践をめぐるナラティブを綴ってもらい,これをデータとし,社会文化的理論に基づいて解釈,分析することで,教師の学びと成長の過程を明らかにし,その後の教師の成長と授業改善へ結びつけることを大きな目的としている。 今年度は,特に,ナラティブ生成を支援する電子ポートフォリオの開発・改善を行った。ウェブアプリケーションとして,Google Apps for Educationを活用し,ここにプライベートなナラティブを蓄積し,一部をメンバー内で共有し,批評し合う仕組みを構築した。さらに,綴られたナラティブに省察を加え,誰もが閲覧できるようにするため,ウェブアプリケーションの一つであるWordPress MUを導入し,ナラティブを公開する仕組みを整えた。 今年度は,研究の基盤整備に加え,ナラティブ研究についての知見を広めるための学会セミナーを関西英語教育学会および広島大学の柳瀬陽介氏が代表を務める科学研究費補助金基盤研究費(C)一般(「第二言語教育に特化した教師ナラティブ研究の理論的・実証的展開」)との共催で「ナラティブが英語教育を変える?!ナラティブの可能性」として2009年10月11-12日に神戸ユニティにて開催した。1日目は異なる立場から教師、研究者が今の英語教育について発言する形式、2日目は教師が自身の内面の声を言語化することの意味を考え,英語教育研究におけるナラティブの意味を議論する格好の機会を提供した。
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