研究概要 |
本研究は,教育や学習の質的な研究の枠組み基づき,英語教師が綴った「ナラティブ」をデータとし,それを解釈する研究である。学校教育現場で教える英語教師に研究協力者として参加してもらい,電子ポートフォリオに,教育実践をめぐるナラティブを綴ってもらう。収集したナラティブをデータとし,社会文化的理論に基づいて解釈,分析することで,教師の学びと成長の過程を明らかにし,その後の教師の成長と授業改善へ結びつける。 具体的には, (1)英語教育研究におけるナラティブ・アプローチの研究手法の精緻化, (2)ナラティブ生成を支援する電子ポートフォリオの開発・改善, (3)教師のナラティブ・アプローチの経験と教室での授業実践の変容の相互作用の解明, という課題の解決を目指している。 昨年度は,ナラティブ生成を支援する電子ポートフォリオの開発・改善を行ったが,今年度はこの仕組みを活用し,研究協力者となっている中高の英語教員がナラティブデータの蓄積をおこなった。Google Apps for Educationの機能を活用し,メンバー内でデータを共有し,ディスカッションを進めた。学校教育現場で多忙を極める教員にとって,ナラティブデータを蓄積することは容易ではなかったが,一次データとしてのナラティブの蓄積はある程度進んでいる。次年度は,この一次データを質的に分析し,英語教師が自らの教室での経験や成長をどのように綴っていて,ポートフォリオがそれをどのように支援しているかを分析していく。さらに,ナラティブを綴る経験が授業実践どのような影響を与えるかについて研究を進める。なお,本研究の成果の一部は,学会や書籍所収論文の中で発表した。
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