研究概要 |
22年度は脳科学実験で使用するための音声刺激について収集を行った。2音節および3音節の英単語および10モーラ以内の英単文をそれぞれ20個(合計40個)準備した。音声の種類はイギリス標準発音,アメリカ標準発音,中国人英語発音,日本人英語発音の4種類であった。イギリス標準発音およびアメリカ標準発音については,高知在住の英語母語話者に録音を依頼した。また中国人,日本人の英語発音については,Tara,Yanagisawa,Oshima(2010)や多良・大嶋(2011)を参考に,intelligibilityが高いものと低いものを複数の英語母語話者によって判定してもらい刺激音提供の候補者とした。無響録音室がないために,ノイズが入らないように,分厚い壁,ドアで仕切られた部屋を用意し,ICレコーダーを用いて,単語,文がそれぞれ一定の時間で発話されるように留意し,録音してもらった。録音の状態を確認しながら,英語母語話者に,録音された音声刺激の明瞭性が高いか低いかを判定してもらい,どちらにも位置付かない音声刺激は候補から除外した。実際の脳実験を行う前に,候補として残された音声刺激を日本人大学生に予備実験として聞かせ,その単語の意味がわかるかどうか,その英文の意味がわかるかどうかを解答してもらい,その反応潜時を測定した。その結果,英語標準発音と変種発音の間に有意な差が認められた。このことは,準備した音声刺激が適切であること,そして,変種英語発音の聴き取りの際脳内で特別な活動が行われていることを示唆することを意味する。
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