研究課題/領域番号 |
21520640
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
佐藤 久美子 玉川大学, リベラルアーツ学部, 教授 (60154043)
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研究分担者 |
梶川 祥世 玉川大学, リベラルアーツ学部, 助教 (70384724)
庭野 賀津子 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (30458202)
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キーワード | 小学校英語 / 絵本の読み聞かせ / 言語音声の発達 / 学習 / 母子相互作用 / 教師と児童 / インタラクション |
研究概要 |
小学生を対象とした適切な絵本の読み聞かせの指導法を考案することを最終的な目的として、そのための科学的な根拠となる、小学生の英語L2学習者と2~5歳児の日本語母語児の絵本の理解過程及びストラテジーを明らかにすることが本研究の目的である。 そこで21年度は、【研究1】として、小学生を対象としてthink aloudの手法を用い、英語絵本の理解過程を調査した。19名の被験者一人ずつの対面調査を行ったところ、理解が得意な児童は英単語をよく聞き取り、絵に注目し、自分の経験、背景的知識など複数のストラテジーを統合的に使い内容を理解していることが明らかになった。一方、理解が不得手な児童は、絵のみに注目する傾向が強く、複数の手掛かりを同時に使って理解することが難しい。この研究成果から、絵本を読み聞かせする時には、絵と共に、単語や音調などの英語音にも同時に注目させ、背景的知識を使い内容を推測させる指導が大切であるとのヒントを得た。【研究2】としては、子どもの言語発達や産出力を促進させる、より適切な教師の児童へのコミュニケーションの取り方を考案することを視野に入れ、2~3歳児の遊びや絵本の読み聞かせ時における母親の発話タイミングと幼児の語彙サイズ・模倣力との係わりを調査した。語彙力のある子どもは2歳児から頻繁に母親の言葉を模倣し、また母親もほぼ同じ率で子どもの言葉を模倣している。さらに、発話量の多い子どもの母親の応答速度は少ない子どもの母親に比べ速く、かつ発話時間が短い。いわゆる聞き役に回り、リズミカルなコミュニケーションの取り方が、子どもの発話を促すことが理解できる。話しかける速度も遅い。 以上から、読み聞かせを教室で行う際も、児童の話には素早く、短く返答し、児童の返答の一部を模倣する返答を取り入れながら会話を続けることが、児童の発話を促す指導法につながるというヒントを得た。
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