研究概要 |
韓国では小学校への英語導入以降、早期英語教育が過熱化し、特に、都市と地方において英語の学力格差が顕著にみられるようになった。また、韓国は収入の違いが教育機会の不平等を招くといういわゆる教育格差が大きな社会問題となっている。これらの問題を解決するための手段として韓国政府は韓国教育放送公社(Korean Educational Broadcasting System)の発展に力を注ぎ、2007年に英語の教育番組を専門に放送するEBS English(EBSe)を開始した。 平成22年度はEBSeの小学生を対象にした番組(初等教科書英語・放課後英語・School English Level)の分析を行った。その結果、「初等教科書英語」は英語があまり得意でない小学校教員が一定レベルの授業を行う助けになり,彼らの負担を軽くするのではないかと思われる一方,「放課後英語」は日本のコミュニケーション重視の小学校外国語活動の方針とはかなり異なるものであり,今の日本の小学校外国語活動の現状にはそぐわない番組であった。SELに関しては,提示されている学年や学期通りに教師が使用できないなどの問題はあるが,文法指導や内容重視の教授法を取り入れた番組など日本が参考にできる良質な番組がいくつか見られた。 さらに、平成22年度は韓国の2007年改訂教育課程および日本の学習指導要領における英語教育に関する比較を行い、韓国の英語の教育課程についても調べた。その結果、日本の学習指導要領よりも韓国の2007年改訂教育課程のほうが目標や達成基準が体系的に提示されており,どのような英語力を身につけてほしいのか具体的であり,目標とする学習者像も容易に可視化できることがわかった。
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