本研究は、教室外で英語を書く機会がほとんどない日本の大学生が、大学授業内で一年間毎週10分間のtimed writingを行った場合、ライティングにどのような変化が現れるのかを書かれたテクストや内省文の分析によって明らかにすることを目的とする。この研究は3年間行うものであり、2009年度はその一年目である。研究実施計画では、主にデータ収集と経過報告を行うことが目標であった。以下、交付申請書に記載した項目にしたがい、それぞれについての成果を述べる。 (1)一年間の作文データ採取 作文は計画通り、無事採取を終えた。本研究は応用性の高いタスクを用い、実際に教室内で行うため、他のさまざまな英語能力を持った大学生や、中学・高校生の英語教育へも応用可能であるかを探ることも目標の一つとしている。そのため、一年間、実際にタスクを行い、教室内の様子を観察できたことにより、様々な示唆を得た。 (2)アンケートおよびインタビューデータ採取 アンケートとインタビューも予定通り実施することができた。これらの情報は、ライティング発達を分析する際に非常に役立つと思われた。さらに、学生の声を聞くことによって作文データ採取方法について様々な改善点も見つかったので、2年目も引き続き作文データを採取することとした。 (3)研究経過報告 2009年度は主要国際学会で二回の発表を行った。発表は好評であり、実行委員長から本の執筆を依頼され、現在執筆中である。さらに、これまでの成果をもとに二本の論文を執筆した。研究は現在初期段階にあるが、関連分野の研究者たちからは一定の評価を受けていると考えられる。2010年度も引き続き様々な場で発表を行いたい。
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