本研究は、高専の学生たちに身につけさせたい英語専門用語データベースの構築とその成果に基づいた語彙リストの提供が主たる目的であり、本年度は、主に専門教科書に用いられている語彙分析を行いその成果を口頭発表した。分析対象とした教科書は、英語圏で開発された高校生・大学初級者向け(高専生の学齢に相当)もの2種類(工学全般を扱うものと情報科学を扱うもの)と日本で発行された工業英語を扱う教科書2種類の計4種類である。分析方法は、まず、教科書の背表紙を裁断したのち、ドキュメントスキャナを使用してすべてのページを画像化(jpegで保存)した。その後、OCRソフトを用いてレイアウトの解析とテキスト化を行った。テキスト化したファイルを語彙分析用のソフトウェアであるKWICを使用して、語彙の総数(総語数および異なり語数)、頻度、出現順位などを分析した。まだすべての分析が完了しておらず、途中経過の報告(前者2種類の傾向の分析)であるが、冠詞や前置詞などの機能語が多いこと、両者に出現している単語の長さにはほとんど差がないこと、工学全般とICTという非常に近い分野を扱っているにもかかわらず取り扱うテーマによって出現する単語の傾向は変わることの3点が明らかとなった。今後は、日本で発行された教科書との比較分析も行い、取り上げられている語彙の類似点や相違点を明らかにした上で、高専生に必要な専門用語の抽出・提供をしたい。さらに、語彙リストの作成および授業での活用などを行い、その成果に基づいて再分析を行いたい。
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