本研究は、高専の学生たちに身につけさせたい英語専門用語データベースの構築とその成果に基づいた語彙リストの提供が主たる目的である。本年度は本研究課題の最終年度ということもあり、これまでの成果を国際学会および学内紀要等にまとめた。特に、教科書分析に基づいた使用語彙の差異については、前年度の成果に加え、日本で出版された工学系専門教科書の分析結果も加えている。分析の結果、全体の傾向は英語圏で出版された教科書と似ていた。まず、冠詞や前置詞などの機能語が多いこと、両者に出現している単語の長さにはほとんど差がないこと(機能語は一般的に短い単語が多くその影響が大きいと考えられる)、取り扱うテーマ(分析に用いた教科書は工学全般とICTを中心に扱ったもの)によって出現する単語の傾向は変わることなどの点は見られたが、英語圏で出版されたものとの大きな違いとして、総語数と異なり語数がそれらと比較して少ないということが明らかとなった。当初の計画では、これらの分析結果をもとに高専生に必要な専門用語の抽出・提供、さらに、語彙リストの作成および授業での活用などを行い、その成果に基づいて再分析を行う予定であったが、現時点ではその目標は達成することができなかった。教科書データの文字化をする際、読み取りミスや文字化けなどのエラーを修正するのに相当の時間を費やしたためである。今後も引き続き本研究を継続し、できるだけ早く学生のもとにリストを提供し、その有効性の検証を行いたいと考えている。
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