研究課題/領域番号 |
21520653
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷 昭佳 東京大学, 史料編纂所, 技術専門職員 (70532670)
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研究分担者 |
保谷 徹 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60195518)
箱石 大 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60251477)
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キーワード | 日本史 / 史料学 / 画像史料解析 / 古写真史料学 / 画像保存 |
研究概要 |
本研究は、国内外の日本関係古写真コレクションを対象に、基本的かつ特徴的なコレクションを新たに発掘してデジタル画像収集と解析を目的としている。申請時に用意した所在情報および前年度の予備調査の結果にしたがって優先順位をつけ、以下の日本関係古写真コレクションのデジタル画像を収集した。また、伊豆韮山江川文庫での古写真調査の成果として公開研究会を東京大学史料編纂所付属画像史料解析センターとの共催で開催した。 〔国内〕伊豆韮山江川文庫(幕府代官江川太郎左衛門)の古写真調査をおこない、新規収集データ1094点を整理して、書誌データを作成。〔海外〕イギリス:大英図書館所蔵Wilhelm Burgerコレクションを調査し、画像デジタルデータ57点を収集。オランダ:王立図書館所蔵マイクロフィルムより、19世紀の写真技術書GUSTAVE LE GRAY 「PRACTICAL TREATISE ON PHOTOGRAPHY UPON PAPER AND GLASS」の書誌情報を入手。その後の研究で、本書は史料編纂所所蔵の国宝島津家文書にある、島津斉彬が実際に使用したと考えられる「写真鏡小説第二編」の原著であることが判明した。オーストリア:1869年(明治2)に来日したオーストリア・ハンガリー帝国東アジア遠征隊の随行写真家Wilhelm Burgerが、帰国後の1871年に皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に奉呈した写真アルバムとオリジナル湿板写真ネガからなる写真コレクションの画像データ247点の収集と技法調査を行った。その結果、BurgerコレクションにはBurgerが自ら撮影した写真ネガだけでなく、日本国内には多くは現存しない長崎の上野彦馬や横浜の下岡蓮杖の湿板写真ネガ原板が多数含まれていることが、現像技法の違いから明らかとなった。この成果は、朝日新聞文化欄(2010.11.23)において紹介されるなど、社会的にも関心が持たれており、今後の更なる調査研究が期待されるものである。 〔古写真研究会〕2010年12月17日に、史料編纂所大会議室において公開研究会「江川文庫古写真コレクション調査報告」を開催し、文化財指定を視野に入れた調査研究の成果を公表した。参加者は学内外から約50名であった。
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