前年度にひきつづき、2010年9月および2011年2、3月に代表者と分担者がモンゴル国立中奥立書館およびモンゴル国立図書館で古地図、境昼報告書の閲覧、複写ぐデジタル化をおこなった。おもに清代外モンゴルの4アイマグ、なかでも地図と関連資料がおおくのこるハルハ東部のトゥシェート・ハン・アイマグ、セツェン・ハン・アイマグの古地図、関連文書の分析をおこない、作図法の変遷、地図の作成の命令にかんする文書の形式を考察した。19世紀の前半に作成された地図と清末に多数作成された地図の比較をおこない、あるい地図にモンゴル人の伝統的な景観認識が反映されている可能性を再確認した。 セツェン・ハン・アイマグの東部は、清代には黒龍江将軍の管轄する地域と、1930年代には満洲国と国境紛争をおこしているので、同地域の地図を精査し、紛争の歴史を整理した。 ベルリンのモンゴル地図コレクションがすべてデジタル化され公開されたので、モンゴルに所蔵される未公開の地図との比較をこころみた。ベルリン・コレクションにふくまれる地図は時代的にはあたらしいといはいえ、内モンゴルの地図を多数ふくんでいるので、内外モンゴルの地図を比較するうえでは貴重な資料になりえ特別をもつことがあきらかになった。 最終年度に予定している古地図研究の国際会議の準備をおこない、モンゴル側の研究者と意見の交換をかさねた。とくにモンゴルの地名研究はかまのラブダン教授の蓄積している地図資料の利用の可能性について協議した。
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