本課題の目的は、中国・韓国・台湾等東アジアにおける古代音楽文化の研究にある。その資料とすべきは、これらの地域の図像資料であり、これらの実地調査により、資料蒐集整理し、文献研究とつきあわせての検討が必要である。一昨年度は蘭州・炳霊寺・麦積山など河西地域甘粛省の魏晋墓・石窟の調査、昨年度は遼寧省瀋陽とその周辺における魏晋墓画像磚・壁画等の調査研究、続いて吉林省集安において、中国の影響を受けた高句麗古墳群に画かれた壁画資料等の調査研究し多くの資料を蒐集した。平成23年度は8月31日~9月10日、中国新彊ウイグル自治区を行った。ウルムチではまず新彊亀茲研究院の霍旭初先生と面談し、亀茲のキジル石窟、クムトラ石窟等調査の情報を得ると共に、調査への便宜を謀ってもらうことをお願いした。その計画にしたがい、新彊ウィグル自治区博物館、トルファンのベゼクリク千仏洞・アスターナ古墳群等に描写されている楽器・舞踊等の音楽文化資料の調査研究、亀茲ではキジル石窟、クムトラ石窟を中心とした壁画での音楽文化の調査研究を行い、多くの音楽文化関係資料を蒐集した。また、キジル研究院の苗利輝先生と面談し、壁画や考古学出土資料等に関して多くの情報を得ることができた。カシュガルを経由してウルムチにもどり、霍旭初先生と再度面談し、調査の報告と情報交換をした。今回の研究調査では、新彊ウィグル自治区における西域の影響を受けた音楽文化の多くの資料を蒐集できた有意義な調査研究であった。
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