平成21年度には、拓殖大学図書館、外務省外交史料館、国立国会図書館憲政資料室で史料調査をおこない、研究代表者阿部が、(1)大学が所蔵する史料の保存と公開と活用についての研究会報告をおこない、(2)京都府立総合資料館が所蔵する満洲引揚資料について、東北大学史料館における大学アーカイブの管理と公開について、第二次世界大戦後の藩陽における日僑学校について、「満洲」をめぐる記憶と経験について、といった4つのテーマのセミナーを主催した。 研究会報告とセミナーについては、その概要を滋賀大学経済経営研究所のウェブサイトをつうじて公開し、かつ、それらのフルテキストを、滋賀大学経済学部Working Paper Seriesにおいて発表済み、またはその準備中である。 また、研究代表者と研究分担者により、滋賀大学経済経営研究所所蔵の「満洲引揚資料」の細目目録を作成した(継続中)。 平成21年度は上記の活動により、(1)「満洲」などからの引揚げは、自治体によっては援護をめぐる現在の業務対象であること、その資料は現用文書であるばあいがあること、(2)滋賀大学経済経営研究所所蔵「満洲引揚資料」は、拓殖大学図書館所蔵「国際善隣文庫」、外務省外交史料館所蔵文書、国立国会図書館憲政資料室所蔵「片倉衷文書」との関連で、その全体像を論じるべきこと、(3)第二次世界大戦直後に始まる日僑学校の動向について明らかにしうること、を確認した。
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