4年間の研究期間の2年目に当たる2010年度は、史料調査を継続しつつ、研究成果の公表に努めた。 1.史料調査 研究成果の学会報告に併せて宮城県公文書館、山形県立図書館・文翔館において、関係史料・図書の調査を行った。また、新たに関係史料(県庁文書)の存在が確認された奈良県立図書情報館において、奈良県庁文書中の関係史料の調査を行い、その過半を撮影した。 2.学会報告 5月29日に東北大学法学部で開催された法制史学会第62回総会の一般報告の部で「近代日本における『行き倒れ』取扱法制とその行政的運用の諸段階-政府・府県・町村の関係及び『行き倒れ』の実態に注目して-」と題して報告した。また、主として都道府県立公文書館において史料調査を行ってきたことから、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の招待を受け、同協議会の2010年度京都大会(11月25日、会場・京都テルサ)において「近現代史研究と文書館-利用者の立場からの1つの文書館論-」と題して報告した。この報告のために、全国の36の公文書館・相当施設に自らアンケートを行い、行政文書の目録整備・公開に関する実証分析を行った。 3.学術論文等の執筆・発表 法制史学会での報告は、その後の史料調査と史料分析の結果も反映させて、「近代日本における行旅病人・行旅死亡人対応法制の成立と展開-明治維新後の政府・府県の「行き倒れ」対応法規-」としてとりまとめ、『部落問題研究』第196号に発表した。そこでは、明治維新後3段階に改定・整備された明治政府の行旅病人・行旅死亡人対応法制の成立・展開過程とその要因を、府県における関係規則とも関連させて分析・解明した。また、上述の全国歴史資料保存利用機関連絡協議会京都大会での招待報告「近現代史研究と文書館」も、アンケート集計表とともに同協議会『会報』第90号(大会報告号)に提出し、印刷中である。
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