1、本研究は、阿仁銅山・大葛金山・八森銀山・太良鉛山など、近世日本の有力鉱山として稼行した秋田領北部地域における個別鉱山研究と諸鉱山の関係・交流史を究明するものである。 2、本年度は、幕末に秋田藩の銅山方吟味役として、院内銀山などに駐在した小貫家の文書(国文学研究資料館蔵)のうち、鉱山関係史料を中心に写真撮影したものを鉱山関係の過半をデジタル化し、さらにA4版用紙に出力して整理した。 3、個別鉱山研究では、大葛金山を経営した荒谷家に分家に伝来する荒谷寿衛家のマイクロフィルム撮影史料をデジタル化し、さらにA4版用紙に出力して整理した。また、福地家文書のうち太良鉛山関係撮影史料をデジタル化し、さらにA4版用紙に出力して整理した。 4、史料調査では、近代の友子制度に関する坑夫取り立て免状などを、北秋田市阿仁伝承館において調査収集した。 5、本年度の研究成果としては、『近世鉱山をささえた人びと』(山川出版社・日本史リブレット89)を刊行した。これまでの近世鉱山社会の歴史像に修正を迫り、新たな構築を期したもので、本書には本研究と関わる大葛金山の事例も紹介している。また同書所収の写真図版の一部には、本研究の調査によるものも含まれている。
|