平成22年度は、荘園・公領の領域支配と負担構造の解明の基礎として、以下の作業を行った。 1、荘園・公領の帳簿の網羅的収集とデータベースをもとに、平安時代から鎌倉時代にかけての検田・検注の実態、検田帳・検注帳について帳簿の変遷を明らかにした。 2、特に、荘園・公領の帳簿のうち「土帳」「実検図」と呼ばれる帳簿の性格を明らかにするため、大和国乙木荘、備中国服部郷、播磨国小犬丸保・小宅荘・弘山荘・斑鳩荘等の現地調査を行った。その他、茨城県立博物館で、大和国若槻荘土帳・検注帳の原本調査を行い、その他関係史料の写真確認をおこなった。 3、荘園・公領に賦課される諸負担に関する史料の収集とデータベース作成。平安時代の記録、『平安遺文』『鎌倉遺文』その他の史料集より、平安時代から鎌倉時代の一国平均約と呼ばれる課役の賦課・免除に関する史料を収集・整理した。
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