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2011 年度 実績報告書

和歌を素材とした平安時代の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21520690
研究機関早稲田大学

研究代表者

川尻 秋生  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70250173)

キーワード平安時代 / 和歌 / 交通 / 私家集
研究概要

本年度は和歌の歴史的特性について考察した。
菅原道真の記文『宮瀧御幸記』を分析し、臣下に和歌を読むことを求めた宇多上皇に対し、漢詩文を得意とする道真は、和歌を読むことをせず、漢詩を朗詠した。このことは、道真が和歌を見下していたことを示していることを明らかにした。『善家異記』によれば、こうした感情は漢詩文を得意とする文人貴族に共通する考え方であり、和歌は色ごとと密接に関係する文芸であると考えられていた。
一方、『宮瀧御幸記』には、「人々以為今日以後和歌興衰矣」という一文があり、従来は「人々以為、今日以後和歌興、衰矣」と句読点を振り、和歌を得意とする素性法師が去ったことに対して、人々がこれから和歌の興が衰えると解釈されてきた。しかし、「人々以為、今日以後和歌興衰矣」と読み直し、和歌一色となった御幸に対して、これから和歌が興隆するであろうとの感慨として読むべきであると考えた。ことことから、この記事は、和歌が公の舞台に登場する『古今和歌集』の前段階として位置づけられるのではないかと考えた。
また、この御幸に参力した臣下の性格を分析した結果、宇多上皇の近親および近臣であることが判明した。このことは、『古今和歌集』の作者のうち、同集の編纂を命じたとも完成したともいわれる延喜5年(905)に生存していた者のほとんどが、宇多上皇と醍醐天皇の近親・近臣であることと共通する。和歌が読まれる場の多くが、王権の私的空間であり、和歌には私的性格が存在するとの、和歌の基本的性格として認識することができると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

『私家集大成』からの語句の検索も予定通り進んでいる。また、研究成果についてもおおむね当初の予定どおりにすすんでいる。

今後の研究の推進方策

当初の計画とほとんど変化はない。「私家集大成」からの史料の摘出と集積、研究と関係論文の執筆などを本年度も行い、最終的に報告書の作成を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 菅原道真と和歌2012

    • 著者名/発表者名
      川尻秋生
    • 学会等名
      国際的日本古代学の展開-交響する古代II(国際学術研究会)
    • 発表場所
      明治大学(東京都)
    • 年月日
      2012-03-20
  • [図書] シリーズ日本古代史5『平安京遷都』2011

    • 著者名/発表者名
      川尻秋生
    • 総ページ数
      223
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2013-06-26  

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