本研究は、信濃善光寺門前水茶屋の経営文書である「島田屋文書」を中心に、その整理・公開作業、分析をおこなうとともに、近世~近代の遊郭における、遊郭経営・遊女・男性遊客の実態を明らかにすることを目的とする。また、本史料をもとに、周辺地域の史料調査を合わせることで、広域的な流動性についても検証をおこなうとともに、その他の地域における同種の資料の調査もおこなう。 1、上記「島田屋文書」の整理作業をすすめ、その近世部分についての翻刻の(4)を『京都橘大学大学院研究論集』第9号に掲載した。次回で翻刻を完成させ、近代部分の目録の掲載もおこなう予定。 2、「島田屋文書」の関連史料として、善光寺門前権堂村の名主永井家の文書(昨年度長崎県立歴史館などで一部調査したと同じ家のもの)を入手した。ひきつづき内容を調査の予定。 3、他地域の同種の遊郭資料の調査の一つとして、昨年度から引き続き長崎丸山遊郭の調査を、長崎歴史文化博物館所蔵文書などにおいて二度おこない、その成果を「混血児追放令と異人遊郭の成立」と題して論文にまとめた。 4、他地域調査の二つ目として、昨年度収集した豊後日田の豆田町遊郭の旧所蔵者の聞き取り調査・現地調査をおこない、また大分県立図書館などにおいて、周辺地域もふくめ関連調査をおこなった。
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