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廃絶させられた行政組織である郡役所で作成・保管されていた郡役所文書の残存状況について、史料保存利用機関ヘアンケート調査を実施し、さらに各機関作成のホームページから郡役所文書情報を抽出し、そのほか印刷刊行されている史料目録などから調査し、全国的な郡役所文書残存状況を明らかにした。今後の地方政治史の研究資源の所在情報が明確になり、今後の近代政治史研究の進展が期得できる。
郡役所文書の基本的な保存形態は組織廃絶時に府県庁へ引き継いだ文書群である。それ以外に郡役所で保管していた文書の一部が残存、流失したもの、郡役所吏員の個人文書の中に含まれるものがあった。そのほか、郡役所関連史料が郡役所を指導した府県庁、郡役所が指導した町村役場、住民に対する通知など個天所蔵の文書群に含まれることが判明し、組織廃絶により公文書自体が激減したために全体像が把握しにくい郡役所文書を復元する手がかりを得ることができた。
政府、府県、郡役所、町村の公文書の作成・管理状況を比較検討することにより、公文書体系形成の検討を開始したが、規定類が時系列を追って保存されている事例が少なく、各階層の公共組織ごとになるとさらに資料を得ることが困難であり、各階層を縦断する調査、同時期の資料を求める横断的検討を今後蓄積し、研究目的の達成に近づきたい。
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