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2011 年度 実績報告書

中国雲南地方の非漢民族における「歴史記述」の伝統

研究課題

研究課題/領域番号 21520714
研究機関名古屋大学

研究代表者

林 謙一郎  名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (20294358)

キーワード東洋史 / 中国少数民族 / 歴史記述
研究概要

今年度はまず、電子テキスト化の対象として選定した史料のうち『天啓〓 志』の電子化を行なった。これで当初予定した明代雲南地方志四種の基本的な電子化は完了したことになる。ただし,前年度にすでに判明していたように,委託業者の作成した電子テキストにはかなりの割合で誤認識が含まれており,WEB上に公開可能な形,および分析材料として使用できるテキストデータベースの形に整理するために,当初予定していた以上の工数と時間を要することとなった。この作業は現在も継続中であり,成果はWEBサイトに公開しつつあるが,現時点では完了時期は未定である。
このような作業の遅れから分析作業にも遅れが生じているが,現在までのところ以下のことが明らかになった。すなわち,主な分析対象とした明代の四種の地方志のうち,早期に成立した『景泰雲南図経志書』『正徳雲南志』には明代以前の雲南地方の沿革に関するまとまった記述は見いだせず,『万暦雲南通志』にいたって初めて「沿革大事考」が作成される。これは同じ李元陽が編んだ嘉靖『大理府志』にも「沿革史証」として収録されている。これらの記事にはしばしば「旧志」が引用されているが,それ以前の明代地方志には該当する記述がなく,また元代の李京『雲南志略』には「雲南總敘」が存在するが内容が異なる。したがって「沿革大事考」「沿革史証」の記述は,李元陽自身が同地に伝わる何らかの資料にもとづいてまとめたものであることはほぼ確実である。また李京の「雲南總敘」から李元陽の「沿革大事考」「沿革史証」への変化は明らかに後代の『南詔野史』への過渡段階を示すものであり,雲南における歴史叙述の基本的なスタイルが決定づけられるにあたって,李元陽の果たした役割は極めて大きい。自らも大理出身の白族学者である李元陽に関する更に掘り下げた研究が望まれるところである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 備考 (2件)

  • [備考]

    • URL

      http://toyoshi.lit.nagoya-u.ac.jp/maruha/difangzhi/

  • [備考]

    • URL

      http://toyoshi.lit.nagoya-u.acjp/ynslck/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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