本研究では、対象時期を(ア)唐前半期以前(7世紀以前)、(イ)唐末五代(8~10世紀)、(ウ)宋元代(10~14世紀半)、(エ)明清代(14世紀~20世紀半)の4時期にわけ、民間の経済活動における紛争処理の面で王朝がもっとも重要視した地域、すなわち王朝の「経済中心地」と諸制度の関係を解明することとしたが、本年度においては、この課題にかんする2回の研究報告会を行い(5月23日、9月4日)、研究代表者のほか、各回2~3名の報告者を得て討議を行った。また(イ)に関連して、青山大学史学会において講演会「前近代中国の経済革命と宋代社会」を行い、(エ)に関して明清史夏合宿において当該テーマに関する討議、および慶応大学東アジア研究所での講演「抵当慣行および関連法規から見た宋と清の比較」を行い、さらに(ウ)については昨年度までの本研究の成果およびこれに先行する特定領域研究「中国の法文化の特質、変化、および地域的差異に関する研究」との関連を考察した。さらに、これらの研究を通じて、北朝から唐への連続性と、南宋の文化の持つ南朝的要素について、全羅北道全州市・全北大学校における国際会議「〓〓〓〓〓」にて発表「南北支那論と唐宋変革論における宋朝の定位」を行った。 以上の研究活動を通じて、概ね、唐から天聖に至る令には、北朝的な要素が濃いのに対し、元豊以降は南朝的な土地自由取引の存在した経済に共通する諸問題が令に含まれる事実が明らかとなった。
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