研究課題/領域番号 |
21520720
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
植村 泰夫 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40127056)
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研究分担者 |
藤田 英里 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教 (70516012)
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キーワード | デサ / 原住民自治体条令 / トラック輸送 / 運賃値下げ / 貿易統計 / 産業構造変化 / ランプン / 出稼ぎ労働者 |
研究概要 |
研究代表者はインドネシア地域社会の構造を探るため、まずジャワ村落(デサ)を地方自治の観点から検討し、オランダ植民地権力は「原住民自治体条令」によってデサを近代的な自治体に変質させようとしたが、必ずしも成功しなかったことを解明した。次に、中ジャワ内陸部と北海岸を結ぶ物流の内容と担い手について検討し、1920年代初め頃から鉄道のライバルとしてトラック輸送が登場し、競争は30年代初めには激化し運賃値下げが繰り返されたが、最終的には資本力ある鉄道に有利に展開したことを明らかにした。第3に、1910~20年代インドネシアの貿易統計の分析を進めた。この結果、インドネシア全体としては、輸出額は1916年まで上昇、17~18年は減るが大戦前を上回っており、19~20年には激増し、21~22年は大きく減るものの10年代よりは多く、23年以降はかなり高い水準を維持する、輸入額では14年の大戦勃発後、16年まで減少し、17年から増加を開始し、20~21年にピークとなるが、輸出入とも地域別に見るとこれとは傾向がかなり違うことが明らかになった。また、輸出品は大戦末期に大幅に輸出が減る煙草、コーヒー、コプラと、あまり減らない砂糖、ゴム、石油関連品、コショウ、錫に大別できるが、この差の規定要因解明を現在進めている。輸入品についても同様の検討を行ったが、輸出品より複雑な動きを示す。例えば米は特定時期に特定地域の輸入が大きく増減するが、繊維製品の場合は各地域ともほぼ同じ傾向を示す。機械や鉄の輸入では、20年代後半期から外領比率が急拡大して、30年台にはジャワを凌ぐという特徴がある。背景にある産業構造変化の検討が、今後の課題である。 研究分担者は、第一次大戦期を跨ぐ時期のランプン移民問題を検討し、バンテンからの出稼ぎ労働者がジャワ人移民と共に重宝されており、ランプン社会で重要な役割を果たしていたことを解明した。
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