本年度は5年計画の最終年度であった。これまでのフィリピン国立文書館での史料調査によって収集した「マニラ公正証書原簿」の整理・分析作業を継続するとともに、調査・収集作業も継続した。フィリピン国立文書館での史料調査・収集作業は、2013年11月11-13日、11月29日-12月6日の日程で実施したが、この間、最新の図書等資料の収集も行った。 さらに先行研究の検討や同時代の他の史料の分析と合わせて、スペイン領フィリピン社会の変動期について、当時の植民地社会に生きた人びとの具体的な諸相を明らかにする基礎作業を行った。 これまでの研究蓄積について、2012年10月28-30日の日程でアメリカ・ミシガン州立大学で開催された「第9回国際フィリピン研究学会(ICOPHIL-9)」で報告したものに加筆・修正して『愛媛大学法文学部論集(人文学科編)』36号に掲載した。また2014年2月28日-3月1日に京都大学東南アジア研究所で開催された「フィリピン研究会議(PSCJ2014)」では、研究成果の一部として、スペイン領フィリピン社会の変動期の具体的な諸相の一端を明らかにする報告を行い、18世紀末葉から19世紀初葉のスペイン領フィリピン社会は、マニラを中心としてコスモポリタン化が進展し、様々な人びとの生活が重層・交錯する場であったことを具体的に示した。
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