本研究は、これまで必ずしも十分に活用されてこなかったフィリピン国立文書館所蔵の「マニラ公正証書原簿」(各公証人による公正証書の登録簿)のうち、スペイン領フィリピン社会の変動期(近代移行期)にあたる18世紀末葉~19世紀早期にかかるものについて調査・収集し、その内容を精査することをとおして、人びとの日常生活の諸相を把捉し、当該期のスペイン領マニラ社会の諸相の一端を解明した。 本研究では「マニラ公正証書原簿」に登録されている「公正証書」の内容が当時の植民地の社会経済構造の変容を反映していることから、スペイン領フィリピン社会、特にスペイン領マニラの歴史研究に有用な史料群であることも確認された。
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